2015/08/04

聴覚障害者のビレイについて

私のような聴覚障害者がロープクライミングに参加し、ビレイするにあたって一度まとめていたのですが、年が経ち、自分も経験を積むことで少々洗練されたように思うので更新します。

フォールに対する考え方


 まずフォールについてロングフォールを受け入れる考えを持つ必要があります。
 「1センチでも落ちない、落とさない」から「グランドフォールしなければ多少のロングフォールはあり」へ。
 ロングフォールを受け入れるためには落ち方を考える必要があります。ただ落ちるのではなく落ちるのをコントロールするようにします。
 3~5メートルぐらい落ちたときに無防備でいるとやはりケガしますので体勢を整えつつ足から岩に着地出来るようにコントロールしなければなりません。
 難しいルートなほど着地に失敗して足首を腫らした経験は何度もありますので、やはり練習と経験と理論を確立する必要があるでしょう。

テンション


 ビレイヤーを見てヘルプを求めてください。
 それが出来ないような悪いホールドやムーブの場合、ビレイヤーから見てムーブの動きが悪い、固まってる、ミシンを踏んでいるなどで判断し軽く張る可能性はあります。
 たるみをなくすことでロングフォールはしますが、不用意なグランドフォールは避けられます。ただしヌンチャクとグランドの位置関係によっては強めに張ることもあり得ます。

登ります


 テンション状態からは声かけなしで自由に登ってください。ロープが緩んだことで再開したと判断します。
 ただし、ロープやヌンチャクを掴んでいる場合はこの限りではありません。

降ろしてください


 人差し指で下を上下に指すジェスチャーで通しています。

少し降ろして


 テンション状態からの場合は「少し(親指と人差し指を当てて)」「下ろしてください(人差し指で下を上下に指す)」で少し降りて、希望の位置になったら手のひらをビレイヤーに見せて止めてください。

終了点が見えないようなルートの場合


 一度終了点にロープをセット後、対のロープをたぐりながらビレイヤーが見えるところまで降りて合図します。
 危険ならヌンチャクにムーンヒストした方がよいと思いますが、最後は歩き程度の簡単なケースが多いので今までのところナシでした。

上記の他に


 ・セルフかけてレスト中にプリクリしたいときはロープを引っ張ってください。ついでに人差し指で次のヌンチャクを指すと分かりやすいです。
 ・長いレストから再開したいときに、ビレイヤーがよそ見しているときはロープを引っ張ってください。
 ・セルフなしレストで長時間テンションのときにビレイヤーがよそ見していたらロープを叩いてください。振動でわかります。

ビレイデバイス


 それでも聴覚障害者がビレイするときはオートブレーキ機能付のビレイデバイスに頼ったほうがより安全でしょう。
グリグリなど。自分は軽い、マルチピッチに持っていける点からメガジュルを愛用しています。

自分を守る


 登っていることに夢中になって気づかずに危険な行為をしてしまう可能性は誰にもあります。
 ロープをくくってしまう、ルートから外れてしまう、クリップし忘れ、逆クリップ、Zクリップなど。会話による注意が出来ない以上ロープを引っ張ったり、それ以上登るのを止めるほかは何も出来ません。そのためにも自分で冷静に自分の状態を正確に把握する必要があります。

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